「公務員の経験は民間で通用しないのではないか」。転職を考えるとき、多くの人が最初にぶつかる不安です。掲載事例424件には、転職先で実際に評価された経験が1件ずつ記録されています。何が評価されたのかを整理しました。
公務員の経験は、民間で何が評価されているか
記録された内容を分類すると、最も多いのは「制度や法令を根拠から説明できること」でした。
| 評価された内容 | どれくらい書かれているか |
|---|---|
| 制度・法令を根拠から説明できる | 最も多い(約2割) |
| 行政側の判断や手続きを知っている | 次に多い |
| 正確さ・ミスの少なさ | 同程度 |
| 文書をまとめる力 | 一定数 |
| 関係者との調整・合意形成 | 一定数 |
| 扱った件数や規模の実績 | 一定数 |
注目したいのは、上位2つがどちらも「行政の内側を知っていること」だという点です。汎用的なビジネススキルではなく、公務員でなければ持ちえない知識が評価されています。
1. 制度を根拠から説明できる
最も多く記録されているのがこれです。
- 「制度を正確に理解していることです。介護保険の運用を細部まで知る人は社内におらず、事業設計の前提づくりを任されました。」36歳・市役所・区役所→経営・事業企画
- 「制度を知らない相手に、かみ砕いて説明してきた経験です。CSは製品を知らない顧客に説明する仕事なので、そこは直結すると言われました。」27歳・市役所・区役所→カスタマーサクセス
- 「制度と現場の両方が分かることです。医療法人でも行政への提出書類は多く、そこは即戦力と見てもらえました。」29歳・市役所・区役所→総務
共通するのは、「その制度を細部まで知っている人が社内にいない」という状況です。制度は調べれば分かりますが、運用の実際や改正の背景まで説明できる人は民間にほとんどいません。
2件目のように、「制度を知らない相手にかみ砕いて説明してきた経験」として評価されることもあります。窓口業務が、そのまま顧客対応の力として読み替えられています。
2. 行政側の判断や手続きを知っている
次に多いのが、許認可・申請・審査といった手続きに関する知識です。
- 「許認可の実務知識は歓迎されました。ただ評価されたのは知識だけで、営業成績とは別に扱われます。」35歳・市役所・区役所→法人営業
- 「制度と現場の両方が分かることです。医療法人でも行政への提出書類は多く、そこは即戦力と見てもらえました。」29歳・市役所・区役所→総務
- 「行政の意思決定プロセスを内側から知っていることです。提案が通る筋道を描ける人材は少ないと言われました。」30歳・都道府県庁→コンサルタント
官公庁を顧客に持つ企業、規制業種の企業では、「申請を一度で通せる人材」の価値が高くなります。差し戻しが減る、スケジュールが読める、という実務上の効果があるためです。
3. 正確さとミスの少なさ
地味ですが、繰り返し記録されている評価です。
- 「制度を正確に理解していることです。介護保険の運用を細部まで知る人は社内におらず、事業設計の前提づくりを任されました。」36歳・市役所・区役所→経営・事業企画
- 「正確さと、期限を守る姿勢です。公金を扱ってきた人はミスに対する感覚が厳しいと評価されました。」30歳・市役所・区役所→経理
- 「税法の条文を正確に読めることです。実務で条文に当たる習慣は、想像以上に評価されました。」31歳・市役所・区役所→コンサルタント
公務員の仕事は、間違えられない前提で組まれています。その習慣が、民間では「任せて安心できる」という評価に変わります。
4. 関係者との調整
部署間の調整や合意形成の経験も評価されています。
- 「意外だったのは、窓口で年間数千人を相手にしてきた経験が「初対面の相手と信頼関係を作る力」として評価されたことです。庁内の調整経験も、複数の関係者を巻き込む仕事に向いていると言われました。」26歳・市役所・区役所→キャリアアドバイザー
- 「予算折衝で鍛えた説明力です。相手が何を懸念しているかを先に潰す話し方は提案営業そのものだと言われました。庁内の合意形成の経験も、顧客側の稟議を通す動きに直結しています。」31歳・都道府県庁→法人営業
評価されにくいものは何か
逆に、掲載事例でほとんど記録されていないものもあります。
「クレーム対応」を評価されたという記述は、424件のうちごくわずかでした。公務員の負担として大きい業務ですが、転職先での評価には直結しにくいようです。
また、「真面目さ」「責任感」といった人柄そのものを評価されたという記述もほとんどありません。評価されているのは、具体的に何を扱ったかという実績のほうです。
評価される形にするには、何が必要か
事例を読むと、評価された人には共通の準備がありました。扱った規模を数字にしていることです。
担当した件数、動かした予算額、対象となった世帯数や施設数。面接の記事で見たとおり、面接でも「予算をどの規模で動かしたか」「どこまで自分で判断していたか」を具体的に問われます。
職務経歴書の書き方については転職活動の進め方で扱っています。
この記事の読み方について
ここに挙げたのは、掲載事例に記録された「実際に評価された内容」です。すべての企業が同じ評価をするわけではありません。応募先の業種や職種によって、求められるものは変わります。
また、掲載しているのは転職できた人の記録です。同じ経験を持ちながら評価されなかった人の記録は含まれていません。
よくある質問
公務員の経験は民間企業で評価されますか?
どんな経験が一番評価されますか?
クレーム対応の経験は評価されますか?
窓口業務しかしていなくても評価されますか?
評価されるために何を準備すればいいですか?
真面目さや責任感は評価されませんか?
自分に近い事例の記録を読む
掲載事例には1件ごとに、転職先で何が評価されたかが記録されています。所属・公務員時代の職種・転職後の職種で絞り込めます。
