公務員は内定先をどう選んだか|決め手を実データで集計

公務員から民間企業へ転職した424件のうち、内定先を決めた理由を書いている293件を読み、決め手を分類しました。何を見て決めたのか、そもそも選べる状況だったのかまで含めて集計しています。

集計対象:公務員転職データベース掲載事例のうち、内定先を選んだ理由が記載されている293件/集計日:2026年10月17日

目次

最も多い決め手は「唯一の内定だった」

40件(13.7%)が、内定が1社しかなかったと書いています。比較して選んだのではなく、決まったところに行った、という記録です。

  • 唯一の内定でした。選べる状況ではなかったのが正直なところです掲載事例より
  • 唯一の内定でしたが、研究開発部門と近い距離で働ける環境でした掲載事例より
  • 年収を維持できる条件だったからです。判断材料がそれしかありませんでした掲載事例より

これは掲載事例の選考データとも一致します。内定数の中央値は2社です。応募数の中央値17社に対して書類が通るのは6社、面接まで進むのが5社で、最後に残るのは1社というのが標準的な形でした。

「複数の内定を比較して選ぶ」という前提で活動を設計すると、実際とはずれます。1社に絞られる前提で、応募の段階から行きたくない会社を外しておくほうが現実的だということです。

選べた人は、何を見て決めたか

内定先を選んだ理由(n=293/2026年10月17日集計)
決め手件数割合
唯一の内定だった40件13.7%
任される範囲が明確だった33件11.3%
扱う事業や案件の中身32件10.9%
未経験への支援があった32件10.9%
その先のキャリアの道筋が見えた32件10.9%
働き方・勤務地の条件26件8.9%
公務員経験を歓迎する環境だった25件8.5%
年収・待遇10件3.4%
会社の規模・安定性3件1.0%
その他60件20.5%

年収を決め手に挙げた人は10件(3.4%)、会社の規模を挙げた人は3件(1.0%)しかいません。公務員の転職は待遇を上げるためのもの、と語られがちですが、最後の一社を選ぶ場面ではほとんど使われていない基準でした。

実際に年収が上がった人は224件、下がった人は162件です。年収は結果として動いているものの、決断の理由としては前に出てきません。

決め手になった4つのこと

任される範囲が明確だった(33件)

  • 若手に裁量を渡す方針が明確で、実際に20代の担当者が話をしてくれたからです掲載事例より
  • 事務長として運営に関わる裁量を明示してもらえたからです掲載事例より

「裁量がある」という言葉ではなく、実際に誰がどこまで決めているかを面接で確かめている点が共通しています。異動で担当が変わり続ける環境から出てきた人ほど、この点を重く見ています。

未経験への支援があった(32件)

  • 研修制度が具体的で、未経験を採る前提の受け入れ体制があると感じたからです掲載事例より
  • 未経験からの育成実績があり、元公務員の先輩が複数いたからです掲載事例より

掲載事例の314件が未経験からの転職です。「未経験可」と書いてあるかではなく、実際に未経験を戦力にした実績があるかを見ています。

公務員経験を歓迎する環境だった(25件)

  • 所長が元国税出身で、行政側の経験を歓迎する姿勢がはっきりしていたからです掲載事例より
  • 元教員が複数在籍しており、転職後の姿を具体的に想像できたからです掲載事例より
  • 公共向けの部署が独立していて、腰を据えて取り組める体制だったからです掲載事例より

同じ経歴の人が既にいるかどうかを判断材料にしています。前例があれば、入ったあとに何を期待されるのかが読めるためです。

その先のキャリアの道筋が見えた(32件)

  • 総務から人事へキャリアを広げられる道筋を示してもらえたからです掲載事例より
  • 監督官出身者が既に在籍し、専門性を軸にしたキャリアの道筋が見えたからです掲載事例より
  • 法人営業から審査部門へ移る道もあり、専門性を伸ばせる設計だったからです掲載事例より

入口の職種そのものより、そこから何年後にどこへ行けるかで判断しています。公務員を辞めた理由として最も多いのが「異動で専門性が積めない」ことなので、その裏返しといえます。

辞めた理由の全体像は公務員を辞めた理由にまとめています。

面接で何を確かめているか

記録に共通するのは、会社の説明を聞くのではなく、実際の状態を確かめていることです。

  • 残業がほぼ無いことを、面接で数字を出して説明してくれたからです働き方を数字で確認
  • 定時に帰れる体制が実際に機能していると、複数の職員から確認できたからです複数人に確認
  • 面接官が現場の担当者で、仕事の大変な部分まで正直に話してくれたことが決め手でした悪い面を話すか
  • 若手に裁量を渡す方針が明確で、実際に20代の担当者が話をしてくれたからです実物を見せてもらう

「良い会社です」という説明ではなく、数字を出すか、その立場の人に会わせるか、悪い面も話すかを見ています。役所で情報公開や説明責任に慣れた人らしい確かめ方です。

面接で実際に聞かれた質問は公務員の転職面接で実際に聞かれた質問にまとめています。

公務員の転職事例を条件から探す

この集計の前提

分類は本文の記述をもとに行い、1件につき1つの分類に寄せています。複数の理由が書かれている場合は、最初に挙げられているものを採用しました。

また、本サイトに掲載しているのは転職した人の記録です。内定を辞退した会社や、内定が出なかった会社の情報は含まれていません。

よくある質問

公務員は内定を何社もらっていますか?
内定数の中央値は2社です。内定先を選んだ理由を書いた293件のうち40件(13.7%)が「唯一の内定だった」と記録しており、複数を比較して選べる状況は多数派ではありません(2026年10月17日集計)。
内定先はどう決めればよいですか?
掲載事例で多かった決め手は、任される範囲が明確だったこと(33件)、扱う事業の中身(32件)、未経験への支援があること(32件)、その先のキャリアの道筋が見えたこと(32件)です。年収を決め手に挙げた記録は10件(3.4%)にとどまります。
年収で選ぶ人は少ないのですか?
最後の一社を決める理由として年収を挙げた記録は3.4%でした。実際には224件で年収が上がり162件で下がっていますが、年収は結果として動いているもので、決断の理由としては前に出てきません。
面接で何を確認すればよいですか?
記録に共通するのは、会社の説明を聞くのではなく実際の状態を確かめる姿勢です。残業を数字で説明してもらう、その立場の若手に会わせてもらう、仕事の大変な部分も話してもらう、といった確かめ方が挙がっています。
元公務員がいる会社を選んだほうがよいですか?
「公務員経験を歓迎する環境だった」を決め手に挙げた記録が25件(8.5%)あります。同じ経歴の先輩が既にいると、入ったあとに何を期待されるかが読めるという理由でした。
内定が1社しか出なかった場合はどうすべきですか?
掲載事例では、それが標準的な状態です。複数を比較する前提ではなく、応募の段階で行きたくない会社を外しておくほうが実態に合っています。
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この記事を書いた人

京都大学卒業後、商社勤務、公務員を経て、転職エージェントとして14年間キャリア支援に従事。これまでに累計8,000名以上のキャリア相談を経験。
現在は独立し、SNSを中心に「公務員の転職・キャリア」に関する情報を発信。SNS総フォロワーは1万人を超える。

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