公務員から民間企業へ転職した424件の記録には、面接で実際に聞かれた質問が残されています。そこから、どんな質問が繰り返し出てくるのか、所属や年代によって何が変わるのかを整理しました。
公務員の転職面接では何を聞かれる?
掲載事例に記録された質問を読むと、大きく3つに集約されます。
| 問われていること | 質問の例 |
|---|---|
| なぜ安定を手放すのか | 「なぜ安定を捨てるのか」 |
| 民間の速度と成果に耐えられるか | 「民間のスピード感についていけるか」 |
| 公務員時代に何をどこまでやったか | 「予算をどの規模で動かしたか」 |
順に見ていきます。
「なぜ安定を捨てるのか」は実際に聞かれるのか
聞かれます。掲載事例の中に、この質問はそのままの言葉で複数回登場します。言い回しを変えた質問も含めると、面接の定番と言っていい頻度です。
- 「なぜ安定を捨てるのか」市役所・区役所
- 「なぜ安定した公務員を辞めてまでエンジニアになりたいのか」市役所・区役所
- 「スタートアップの不安定さを許容できるか」市役所・区役所
- 「スタートアップの不安定さを受け入れられるか」都道府県庁
この質問は、志望動機を確認しているというより「すぐ辞めないか」を確かめているように読めます。実際、事例には収入や身分の安定より優先したいことを、具体的な場面で説明したという趣旨の記述が多く見られます。
公務員を辞める理由そのものより、辞めたあとに何を求めているかを言えるかどうかが問われている、と捉えたほうがよさそうです。
数字と成果への向き合い方を必ず確認される
もう1つ多いのが、成果をどう受け止めるかを問う質問です。特に営業職やコンサルタントへの転職では、ほぼ確実に出てきます。
- 「営業経験がないが売れると思う根拠は」都道府県庁→法人営業
- 「数字が未達のとき何をするか」都道府県庁→法人営業
- 「営業経験がないが数字を追えるか」未経験からの営業職
- 「ノルマがある環境で続けられるか」消防→民間
公務員の仕事は、達成度を数値で評価される場面が民間ほど多くありません。そのため「数字で追われることに耐えられるか」を面接官が確認したがる、という構図です。
事例では、予算折衝や査察件数、担当世帯数など、公務員時代にも数えられる実績があったことを挙げて答えた例が見られます。
立場が逆転することを問われる
これは公務員からの転職に特有の質問です。規制する側・発注する側だった人が、される側に回れるかを確認されます。
- 「発注者の立場が長いが受注者側に回れるか」土木職→建設コンサルタント
- 「取る側から守る側に回ることに抵抗はないか」国税専門官→コンサルタント
- 「取り締まる側から支援する側に立場が変わるが割り切れるか」労働基準監督官→コンサルタント
- 「古巣と対峙する場面もあるが割り切れるか」行政職→民間の事務職
- 「指導する側から社内の一担当になるが割り切れるか」消防→総務
許認可、監督、指導、発注。公務員の仕事にはこうした立場が付いて回ります。転職先がその相手方になる場合、気持ちの切り替えができるかを面接官は気にします。
裏を返せば、この質問が出るのは公務員時代の経験がその企業にとって価値があるからでもあります。制度を内側から知っている人材だからこそ、立場が変わったときにどう振る舞うかを確認したい、という順序です。
年代が上がると質問が変わる
40代以上の事例では、質問の内容がはっきり変わります。
- 「部下を持つ立場から、再びプレイヤーに戻れるか」40代
- 「年下の所員に指示を受ける場面もあるが問題ないか」40代
- 「年下の上司の下で働けるか」40代
- 「役所のやり方を持ち込まないか」40代
- 「学校の外で通用する根拠は何か」40代・教員
20代・30代で聞かれる「やっていけるか」に対し、40代以上では「立場が下がることを受け入れられるか」が中心になります。管理職だった人がプレイヤーに戻る、年下の上司につく、といった状況を想定した質問です。
40代以上の95件では書類選考の通過率も31.8%と低く、面接に進んでからも確認される事項が増える傾向が見えます。
所属によって聞かれ方が違う
掲載事例の範囲では、所属ごとに次のような傾向がありました。
警察・消防・自衛隊
- 「警察の看板がなくても信頼を得られるか」警察
- 「民間のスピード感についていけるか」警察
- 「民間の常識を知らないのでは」自衛隊
- 「民間企業の常識に馴染めるか」自衛隊
組織の外で通用するかを問う質問が目立ちます。「組織の看板を外したときに何が残るか」という確認です。
教員
- 「教員以外の職場でやっていけるか」教員
- 「保護者対応以外に交渉経験はあるか」教員
- 「教員以外の社会人経験がないが大丈夫か」教員
学校の外での経験を問われます。事例では、保護者対応や学年の方針調整を交渉の経験として説明した例がありました。
技術職・専門職
- 「予算をどの規模で動かしたか」行政職
- 「行政の立場と金融機関では判断基準が違うが割り切れるか」行政職
- 「取る側から守る側に回ることに抵抗はないか」国税専門官
抽象的な適性より、具体的に何をどの規模でやったかを聞かれます。案件の規模、根拠にした法令、自分で判断していた範囲。技術職・専門職ほどこの傾向が強く出ています。
未経験であることは、どう聞かれるか
掲載事例のうち314件が未経験からの転職です。未経験そのものを否定する質問より、「どう補うか」を問う形が多く見られます。
- 「営業経験がないが売れると思う根拠は」未経験→営業
- 「教員以外の社会人経験がない点をどう補うか」教員→民間
- 「編集の実務は未経験だが、締切に追われる働き方に耐えられるか」未経験→編集
- 「医療の知識をどう補うか」消防→医療系
未経験であることは面接時点で相手も分かっています。聞かれているのはその差をどう埋めるつもりかです。
この記事の読み方について
ここに挙げた質問は、掲載事例に記録されたものをそのまま引用しています。面接で必ず同じ質問が出るという意味ではありません。企業、職種、募集の背景によって聞かれることは変わります。
また、事例は転職した人の記録です。同じ質問に別の答え方をして通らなかった人の記録は含まれていません。この答え方が正解、という読み方はしないでください。
よくある質問
公務員の転職面接では何を聞かれますか?
「なぜ安定を捨てるのか」は本当に聞かれますか?
公務員特有の質問はありますか?
40代の面接では何が違いますか?
未経験だと面接で不利になりますか?
警察官や自衛官はどんなことを聞かれますか?
自分に近い事例の面接記録を読む
掲載事例には1件ごとに、面接で聞かれたことと、それにどう答えたかが記録されています。所属・年齢・転職後の職種で絞り込むと、自分に近い経歴の人が何を聞かれたのかを確認できます。
