公務員から民間企業へ転職した424件の記録から、転職前後で年収がどう変わったのかを集計しました。年代と所属によって結果がはっきり分かれること、年収が下がった人が転職をどう受け止めているかまで、実際のデータで確認できます。
公務員から転職すると年収は上がる?下がる?
上がった人が224件、下がった人が162件、変わらなかった人が38件でした。上がる人が最も多いものの、4割近くは下がっています。「公務員から転職すると年収が上がる」とも「下がる」とも言い切れないのが実際のところです。
| 結果 | 件数 |
|---|---|
| 年収が上がった | 224件 |
| 変わらなかった | 38件 |
| 年収が下がった | 162件 |
平均では月564万円から587万円へ
転職前の平均年収は564万円、転職後は587万円でした。差し引き23万円です。
ただしこの平均値は実態を表していません。上がった人と下がった人が相殺された結果にすぎず、実際には最大で250万円上がった人と、158万円下がった人が同じ母集団に含まれています。平均だけを見て判断しないほうがよさそうです。
年代で結果が逆転する
年代別に分けると、傾向がはっきり分かれます。20代・30代は上がる人が多く、40代以上では下がる人が多数派になります。
| 年代 | 件数 | 上がった | 変わらず | 下がった |
|---|---|---|---|---|
| 20代 | 145件 | 87件 | 18件 | 40件 |
| 30代 | 184件 | 117件 | 13件 | 54件 |
| 40代以上 | 95件 | 20件 | 7件 | 68件 |
40代以上では、上がった人より下がった人のほうが3倍以上多くなっています。公務員は勤続年数に応じて給与が積み上がるため、40代の年収水準に民間の中途採用で並ぶのが難しくなる、という構図がデータに表れています。45歳以上の転職事例で個別の記録を確認できます。
所属によっても大きく違う
もう1つ差が出るのが所属です。掲載事例の範囲では、次のように分かれました。
| 所属 | 件数 | 上がった | 下がった |
|---|---|---|---|
| 独立行政法人・団体職員 | 26件 | 18件 | 4件 |
| 市役所・区役所 | 102件 | 68件 | 25件 |
| 都道府県庁 | 67件 | 41件 | 19件 |
| 国家公務員 | 45件 | 25件 | 18件 |
| 警察 | 26件 | 7件 | 17件 |
| 消防 | 25件 | 6件 | 18件 |
| 教員 | 31件 | 3件 | 21件 |
警察・消防・教員は、下がった人が大半を占めます。これらの職種は俸給表が一般行政職より高く設定されていたり、時間外手当や特別手当が積み上がっていたりするため、民間へ移ると同水準を保ちにくいという事情があります。
逆に独立行政法人・団体職員や市役所からの転職では、上がった人のほうが多くなっています。
年収が下がった人は後悔しているのか
ここが最も気になるところだと思います。転職満足度(5段階)を年収の変化ごとに集計すると、こうなりました。
| 年収 | 平均満足度 |
|---|---|
| 上がった | 4.0 |
| 変わらなかった | 3.7 |
| 下がった | 3.3 |
年収が下がった人の満足度は確かに低めですが、5段階の真ん中を上回っています。さらに細かく見ると、年収が下がった162件のうち、満足度4以上をつけた人が51件いました。一方、満足度2以下は10件です。
年収が下がっても満足している人の事例を見ると、共通して「時間」を得ています。
- 23歳・消防士から住宅設備メーカーの個人営業へ
450→380万円(−70万円)/満足度4 - 30歳・消防士から人材会社のリクルーティングアドバイザーへ
520→460万円(−60万円)/満足度4 - 29歳・自衛官からセキュリティ企業の法人営業へ
530→470万円(−60万円)/満足度4
いずれも夜勤や当直のある職場から日勤へ移ったケースです。年収は下がったものの、生活時間が戻ったことを転職の成果として書いています。
反対に、満足度が低かった事例もあります。
- 41歳・警察官から小売企業の事務職へ
702→560万円(−142万円)/満足度2 - 42歳・市役所の行政職から人材会社のキャリアアドバイザーへ
630→510万円(−120万円)/満足度2
どちらも40代で、下げ幅が100万円を超えています。下げ幅の大きさと年齢が、満足度を分ける境目になっているように見えます。手当や共済の差まで含めると、提示された年収の差以上に手取りが減るという記述も複数の事例にありました。
年収が大きく上がった人はどこへ行ったか
上昇幅が大きかった事例を挙げます。
- 41歳・省庁の行政職からコンサルティングファームへ
630→880万円(+250万円)/満足度4 - 38歳・県庁の土木職から不動産デベロッパーの開発企画へ
600→820万円(+220万円)/満足度5 - 33歳・外務省専門職員からコンサルティング会社の海外事業支援へ
540→760万円(+220万円)/満足度5
共通するのは、公務員時代の専門性がそのまま職務になる転職先を選んでいる点です。制度設計、土木の技術、地域の知見といった、民間では代えのきかない経験が評価されています。職種としてはコンサルタントや経営・事業企画が目立ちます。
年収の数字を比べるときに気をつけたいこと
ここまでの集計は「転職前の年収」と「転職後の年収」を単純に比べたものです。実際には、次の3点で見え方が変わります。他の人の数字と自分の状況を比べるときは、この違いを踏まえてください。
1. 勤務地によって、同じ役職でも金額が違う
公務員の給与には地域手当があり、都市部ほど支給割合が高く設定されています。同じ年齢・同じ役職でも、東京都区部と地方では年収に差が出ます。
そのため、地域手当の高い自治体に勤めていた人は、転職すると額面が下がって見えやすいという事情があります。一方で、地方の自治体から首都圏の企業へ移った場合は上がりやすくなります。同じ「公務員から民間へ」でも、どこからどこへ動いたかで結果は変わります。
本サイトが記録しているのは転職前の勤務地までで、転職後の勤務地は記録していません。上の集計はこの影響を分けずに数えているため、その前提で読んでください。
2. 職種によって、上がりやすさが違う
顧客と直接向き合う職種は、成果が報酬に反映される仕組みを持っていることが多く、年収が上がりやすい傾向があります。賞与にインセンティブが乗る、実績に応じて等級が上がる、といった設計です。
逆に、事務・管理系の職種は市場の相場がある程度決まっており、未経験からの転職では大きく上がりにくくなります。公務員時代と同じような内勤職を選ぶと、年収は据え置きか下がる方向に動きやすい、という見方ができます。
「公務員から転職すると年収がどうなるか」は、公務員だったかどうかよりどの職種を選ぶかで決まる部分が大きいと考えたほうが、実態に近いかもしれません。
3. どの時点の年収を見るかで結果が変わる
見落とされやすいのがこの点です。オファー面談で提示される金額と、実際に働いてみた1年後の年収は同じとは限りません。
提示額は基本給と固定残業代までで、賞与の実績や業績連動分、インセンティブが含まれていないことがあります。入社時の提示だけを見ると下がったように見えても、1年働いた後の着地では上がっているというケースは珍しくありません。逆に、提示額に見込み残業が多く含まれていて、実際には思ったほど増えなかったということもあります。
本サイトの年収データは事例を提供してくださった方の申告によるもので、どの時点の金額かは統一されていません。転職直後の提示額で答えている方も、しばらく働いた後の実績で答えている方もいます。ここに挙げた数字は「おおよその傾向」として見てください。
この数字を見るときの注意点
掲載事例は個別のケースであり、すべての公務員に当てはまるものではありません。年収は勤務地、企業規模、保有資格によって大きく変わります。
また、ここに掲載しているのは実際に転職した人の記録です。条件が合わずに転職を見送った人は含まれていません。所属別の集計は母数が10〜60件と幅があるため、件数の少ない分類は傾向として読んでください。
よくある質問
公務員から転職すると年収は上がりますか?
40代で転職すると年収は下がりますか?
年収が下がった人は転職を後悔していますか?
警察官や消防士が転職すると年収はどうなりますか?
年収が上がるのはどんな転職ですか?
平均年収はいくら変わりましたか?
自分に近い条件で調べる
年収の変化は、年代・所属・転職先の職種によって大きく変わります。自分に近い経歴の人がどうなったのかは、条件を指定して確認できます。
