公務員から民間企業へ転職した424件には、転職を考えた理由が1件ずつ記録されています。実際に辞めた人が何を理由に挙げているのか、記録された内容から整理しました。
公務員を辞めた人は、何を理由に挙げているか
最も多かったのは「異動があるため専門性を積めない」という理由でした。給与や待遇より、キャリアの積み上がり方への不満が上回っています。
| 理由 | 件数の目安 |
|---|---|
| 異動があり専門性を積めない | 最も多い |
| 勤務形態が体力的にきつい | 次に多い |
| 家庭やライフイベントとの両立 | 同程度 |
| 仕事の範囲に限界を感じた | 一定数 |
| 前例主義・組織の意思決定の遅さ | 少数 |
| 住民対応での消耗 | 少数 |
「給料が安いから辞めた」という単純な理由を挙げた事例は、実はごく少数でした。年収そのものより、この先どうなるかが見えてしまったことを理由に挙げる人のほうが多くなっています。
1. 異動があるため、専門性が積み上がらない
最も多い理由です。数年ごとの異動で分野が変わり、覚えたことが次に活きない。この構造への不満が繰り返し記録されています。
- 「人事課で職員の異動希望を聞く仕事をしていて、「本当はこの仕事がしたい」と言いながら異動が叶わない先輩を何人も見てきました。制度上どうにもできない場面が多く、自分が力になれないことがずっと引っかかっていました。3…」26歳・市役所・区役所
- 「調査で企業を訪ねるたび、経理体制そのものに課題がある会社を多く見ました。指摘して終わりではなく、体制づくりを一緒にやりたいと思ったのが理由です。専門性を年収に反映させたい気持ちもありました。」33歳・専門職
- 「2〜3年ごとの転勤が続き、腰を据えて一つの分野を深められませんでした。家庭を持つタイミングと重なり、専門性と生活の両方を取り戻したいと考えました。」29歳・国家公務員
注目したいのは、これが「公務員の仕事がつまらない」という話ではない点です。むしろ「その分野を深めたい」「体制づくりまで関わりたい」という、仕事への前向きな動機から出ています。
公務員の異動は、幅広い分野を経験させる仕組みとして設計されています。それが合わないと感じた人が転職を選んでいる、という構図です。
2. 勤務形態が体力的に続かない
警察・消防・自衛隊など、当直や交替勤務のある職種で多く見られる理由です。
- 「サイバー部署に移って、被害が起きてから動く仕事の限界を感じました。事件になる前に企業側の備えを作る仕事のほうが、防げる被害が大きいと思うようになりました。交替勤務が続く働き方も、長く続ける自信がありませんでした。」29歳・警察
- 「転属のたびに家族が引っ越すことになり、子どもの就学を考えて腹を決めました。体力面でも、40代以降に同じ働き方を続ける想像ができませんでした。」34歳・自衛隊
- 「救急で運んだ先の病院で、機器の有無によって対応が変わる場面を何度も見ました。現場で救う側から、救える環境を届ける側に回りたいと考えるようになりました。夜勤の負担も理由の一つです。」28歳・消防
この理由を挙げた事例では、年収が下がっても転職しているケースが目立ちます。年収の記事で見たとおり、警察・消防からの転職は年収が下がりやすい。それでも動いているのは、体力面の限界が先に来ているためです。
3. 家庭やライフイベントとの両立
転勤、育児、家族の事情。生活側の変化をきっかけに動いた事例です。
- 「転属のたびに家族が引っ越すことになり、子どもの就学を考えて腹を決めました。体力面でも、40代以降に同じ働き方を続ける想像ができませんでした。」34歳・自衛隊
- 「2〜3年ごとの転勤が続き、腰を据えて一つの分野を深められませんでした。家庭を持つタイミングと重なり、専門性と生活の両方を取り戻したいと考えました。」29歳・国家公務員
- 「子どもと過ごす時間は好きでしたが、部活動や行事の準備で持ち帰りが常態化していました。教育に関わり続けたい気持ちと、この働き方を続けられないという現実の間で、別の関わり方を探すことにしました。」28歳・教員
とくに国家公務員や自衛隊など、広域異動のある職種で「家庭を持つタイミング」と重なったという記述が目立ちます。単身赴任を続けるか、転職して腰を据えるかという選択です。
4. 仕事の範囲に限界を感じた
制度上できることの限界に突き当たった、という理由です。
- 「サイバー部署に移って、被害が起きてから動く仕事の限界を感じました。事件になる前に企業側の備えを作る仕事のほうが、防げる被害が大きいと思うようになりました。交替勤務が続く働き方も、長く続ける自信がありませんでした。」29歳・警察
- 「目の前の40人には向き合えても、仕組みそのものは変えられない。部活動と事務作業で授業準備の時間が削られる状況が続き、教育に関わり続けるなら仕組みを作る側だと考えるようになりました。」27歳・教員
「事件になる前に備えを作りたい」「支援する側ではなく事業をやりたい」。公務員の立場では踏み込めない領域に関わりたくなったという動機で、これも仕事への前向きな理由に分類されます。
辞めた理由と、転職後の満足度は関係しているか
掲載事例全体の平均満足度は5段階で3.7、4以上が272件です。
事例を読む限り、「◯◯から逃げたい」より「◯◯をやりたい」という理由で動いた人のほうが、転職後の評価が高い傾向が見えます。専門性を深めたい、事業をやりたいという理由で転職した事例には満足度4以上が多く、転職先も公務員時代の領域を引き継いでいます。
詳しくは満足度の記事で扱っています。
辞めるべきかどうかの判断について
この記事は、実際に辞めた人が挙げた理由をまとめたものです。同じ理由を持っていても、公務員に留まる選択をした人は掲載事例に含まれていません。
掲載されているのは転職した人の記録だけなので、「この理由なら辞めるべき」という読み方はできません。同じ悩みを持ちながら働き続けている人のほうが、実際には多いはずです。
判断材料として使えるのは、自分と同じ理由で辞めた人が、その後どうなったかという部分です。年収、活動期間、転職後の満足度まで1件ずつ確認できます。
よくある質問
公務員を辞めた人はどんな理由を挙げていますか?
給料が安いから辞める人が多いのですか?
警察官や消防士はなぜ辞めるのですか?
辞めた理由によって転職後の満足度は変わりますか?
異動が理由で辞める人はどこへ転職していますか?
この理由なら辞めたほうがいいですか?
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