公務員から大学職員へ転職した24件の記録をもとに、書類がどれくらい通っているか、年収は上がるのか、何が評価されたのかを集計しました。国立大学法人と私立大学の違い、決まるまでにかかった期間も掲載しています。
公務員から大学職員に転職できる?
できています。ただし決まるまでは、他の転職先より長くかかっています。本サイトには公務員から大学職員へ転職した記録が24件あります。活動期間の中央値は6ヶ月で、掲載事例全体の中央値4ヶ月より長い結果でした。
長くなる理由は、募集が出る時期が限られているためです。民間企業のように通年で採用しているわけではなく、志望する大学の枠が開いているとは限りません。次の項目で、実際の応募数と通過率を見ていきます。
| 平均年齢 | 32.5歳 |
|---|---|
| 平均の公務員歴 | 10.2年 |
| 活動期間(中央値) | 6ヶ月 |
| 応募数(中央値) | 12社 |
| 書類通過率 | 34.2% |
| 未経験からの転職 | 17件 |
| 転職後の満足度 | 5段階で3.8 |
大学職員への転職の難易度|書類はどれくらい通っているか
書類通過率は34.2%でした。掲載事例全体の39.3%とほぼ同じ水準です。「大学職員は倍率が高くて受からない」と言われますが、少なくとも本サイトの記録では、書類段階の通りにくさが他の職種より極端に高いわけではありませんでした。
応募数の中央値は12社、そのうち書類が通ったのが4社、面接まで進んだのが3社、内定が1社です。内定の中央値が1社である点は、他の職種と比べて特徴的です。複数の内定を比較して選ぶ、という進め方にはなりにくいことを示しています。
難しさは通過率より、受けられる求人の少なさにあります。応募数の中央値12社という数字は、多くの人が「出ている募集をほぼ全部受けた」状態に近いものです。
大学職員に転職すると年収は上がる?
上がった人が10件、変わらなかった人が3件、下がった人が11件です。平均では545万円から545万円へ変わっています。全体としては微増ですが、3人に1人以上は下がっているのが実際のところです。
| 変化 | 件数 |
|---|---|
| 上がった | 10件 |
| 変わらなかった | 3件 |
| 下がった | 11件 |
下がった人に共通しているのは、公務員時代に特殊勤務手当が乗っていたことです。警察官・消防士・自衛官のように、交替制勤務や危険業務の手当が年収の一部を占めていた場合、日勤の大学職員になるとその分がそのまま消えます。40代で消防から私立大学の総務へ移った事例では、年収が45万円下がっています。
逆に上がっている人は、大学が専門職として採用した人が中心です。産学連携、財務、施設の技術職、情報システムなど、事務職の一般公募とは別の枠で入った事例では、年収が上がる傾向がありました。
年収の見方には、いくつか注意点があります。詳しくは公務員から転職すると年収はどう変わる?で扱っています。
国立大学法人と私立大学は、何が違うか
掲載事例から見えるのは、募集の出方が根本的に違うという点です。
| 国立大学法人 | 私立大学 | |
|---|---|---|
| 採用の形 | 法人統一試験と経験者採用の二本立て | 大学ごとの個別採用 |
| 募集の時期 | 時期が決まっており、外すと1年待つ | 欠員が出たときに随時 |
| 選考で見るもの | 職務経歴書の具体性(規模・立場) | 学生や教員への対応力 |
| 専門職の枠 | URA・技術職員など事務職とは別枠 | 大学により有無が分かれる |
国立大学法人を志望する場合、募集時期を先に押さえておくことが実質的な前提になります。掲載事例でも「志望する大学の採用ページを直接見て、いつ出るかを先に把握しておくといい」という助言が出ています。
もう一つ見落とされやすいのが、事務職以外の枠です。産学連携ならURAや専門職員、施設の管理なら技術職員という形で、事務職の一般公募とは別に募集が出ます。土木職から国立大学の施設課へ移った事例では、「事務職の公募だけを見て諦めている人は多いと思う」と述べられています。
大学職員の選考で、公務員経験のどこが評価されたか
掲載事例で実際に「評価された」と言われた内容を並べると、共通点があります。公務員という肩書きではなく、担当していた分野の制度知識と実務が評価されています。
- 研究費の制度と会計ルールを、通知が出た背景から理解している国家公務員(行政)→ 産学連携
- 予算要求を受ける側にいたので、現場が出す数字のどこが甘くなりやすいか分かる県庁(行政)→ 財務課
- 保護者と学校と本人の間に入り、言い分が違う状況を整理してきた警察官 → 学生支援課
- 予算が増えない前提で成果を出す進め方を知っている市役所(行政)→ 入試広報
- 在留資格の制度を、窓口で実際に扱ってきた市役所(行政)→ 国際交流課
- 発注者として仕様を書き、業者の見積もりを査定してきた県庁(土木)→ 施設課
- 消防法の要求水準を、査察する側の基準で理解している消防士 → 総務課
- 技術が分からない相手に、手順を噛み砕いて伝えられる中学校教員 → 情報システム課
並べて分かるのは、「安定志向だから公務員が向いている」という理由で採られた人が一人もいないことです。大学側は、自分たちに足りていない具体的な知識を持つ人として採用しています。
公務員経験がどう評価されるかは、民間企業が実際に評価した公務員経験でも職種を横断して集計しています。
転職後の満足度と、実際に感じたギャップ
満足度は5段階で平均3.8でした。掲載事例全体の平均3.7と比べても高い水準です。ただし、入る前の想像と違った点は共通して挙がっています。
- 「定時で帰れる職場」という前評判とは違い、決算期と概算要求期の忙しさは県庁時代と変わらない県庁 → 国立大学法人 財務課
- 意思決定は速いが、動かす人手が足りない。役所なら課で分担していた作業を一人で通す国家公務員 → 産学連携
- 学内の合意形成は市役所より複雑。教員側の意向が強く、事務局の判断だけでは進まない市役所 → 入試広報
- 強制力がまったくない。学生が来るのを待つしかない場面がある警察官 → 学生支援課
- 年度初めと留学生の受け入れ時期に業務が集中し、閑散期との差が激しい市役所 → 国際交流課
「大学職員は楽」という評判とは、少し違う姿が見えます。忙しさの波が大きいこと、そして一人あたりの担当範囲が広いことが、繰り返し挙げられていました。
大学職員を目指すなら、どう動くか
掲載事例に共通していた進め方は、次の3つです。
1. 事務職の一般公募だけで探さない。産学連携、財務、施設、情報システムなど、専門職の枠まで含めて探すと、自分の担当分野がそのまま要件になっている求人が見つかります。事例24件のうち、専門性を軸に入った人ほど年収が上がっていました。
2. 志望する大学の採用ページを直接見る。とくに国立大学法人は募集の時期が決まっており、エージェント経由の情報だけを待っていると1年単位で機会を逃します。
3. 職務経歴書に、規模と立場を数字で書く。「予算を担当した」ではなく「いくらの事業を何件、どの立場で査定したか」まで書いた事例で、書類の通過率が変わっています。
エージェントの使い分けや職務経歴書の書き方は、公務員の転職活動の進め方で詳しく扱っています。未経験の職種に移れるかどうかは公務員から未経験の職種へ転職できる?を参照してください。
この集計の前提
掲載事例は個別のケースであり、すべての公務員に当てはまるものではありません。志望する大学の規模、募集の枠、保有資格によって結果は大きく変わります。
また、本サイトに掲載しているのは転職した人の記録です。大学職員を目指したが決まらなかった人、途中で方向を変えた人は含まれていません。その分、実際の通過率よりは高めに出ている可能性があります。

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