公務員からコンサルタントへ転職した27件の記録をもとに、年収がどれだけ変わるか、書類はどれくらい通るか、入ったあと何がきついのかを集計しました。ITコンサルタントとして入った11件も別に掲載しています。
公務員からコンサルに転職すると年収はどうなる?
平均で579万円から697万円へ変わっています。掲載事例のどの職種よりも伸び幅が大きく、年収が下がった記録は2件だけです。
参考までに、掲載事例全体では564万円から587万円です。コンサルタントは、全体の伸びを大きく上回っています。
| コンサルタント | ITコンサルタント | 掲載事例全体 | |
|---|---|---|---|
| 件数 | 27件 | 11件 | 424件 |
| 平均年収の変化 | 579→697万円 | 581→702万円 | 564→587万円 |
| 年収が上がった | 24件 | 9件 | 224件 |
| 年収が下がった | 2件 | 2件 | 162件 |
| 書類通過率 | 37.8% | 34.5% | 39.3% |
| 活動期間(中央値) | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 4ヶ月 |
| 転職後の満足度 | 4.1 | 4.1 | 3.7 |
| 平均年齢 | 35.0歳 | 35.1歳 | 33.6歳 |
難易度は高くない。決まるのも早い
書類通過率は37.8%で、掲載事例全体の39.3%とほぼ同じです。年収の伸びが大きい割に、入りにくいわけではありません。
むしろ特徴的なのは期間です。活動期間の中央値は3ヶ月で、全体の4ヶ月より短く決まっています。掲載事例の中でも早い部類です。
理由は、コンサルティングファームの公共部門が公務員の経験を要件として明示して募集しているためです。他の職種のように「経験を読み替えて説明する」段階がなく、そのまま当てはまります。
未経験からの転職も27件中14件あります。コンサルの実務経験がなくても入っている人のほうが多い、ということです。
選考で評価されたのは、制度をつくる側にいた経験
- 国の基準類を作る側にいた経験です。基準の背景を説明できる人はほとんどいないと言われました国家公務員から
- 法令をゼロから設計した経験と、関係省庁を調整しきる力です。同じことができる人材は民間にほとんどいません国家公務員から
- 行政の意思決定プロセスを内側から知っていることです。提案が通る筋道を描ける人材は少ないと言われました都道府県庁から
- 税法の条文を正確に読めることです。実務で条文に当たる習慣は、想像以上に評価されました税務職から
- 税務調査の実務と、条文を正確に読む習慣です。行政側の判断基準を知る人材は重宝されます国税専門官から
共通しているのは、行政の内側を知っていること自体が商品になっている点です。民間企業が自社で育てられない能力なので、そのまま値段がつきます。年収の伸びが大きいのはこのためです。
入ったあと、何がきついのか
満足度は4.1と高い一方、ギャップの記録は具体的です。挙がっている内容は、はっきり4つに分かれます。
1. 資料の作成速度と密度
- 資料の密度と作成速度が段違いです。最初の半年はついていくだけで精一杯でした掲載事例より
- 資料作成の速度が求められ、最初は若手に追い抜かれる感覚がありました。プライドを一度捨てる必要があります掲載事例より
- 資料作成のスピードと質を常に求められる点は想像以上で、入社直後は深夜まで修正を重ねる日が続きました掲載事例より
最も多く挙がる項目です。知識では勝てても、資料をつくる速さでは20代に負ける——この落差が入って最初の半年に集中しています。
2. 提案書=受注競争であること
- 受注競争があるため、提案書の作り込みに時間を取られます。技術だけやっていればいい訳ではありません掲載事例より
- 受注競争があるので、提案が通らなければ仕事にならない緊張感があります。役所では考えなくてよかった部分です掲載事例より
- 成果が受注額で測られます。公務では意識しなかった感覚です掲載事例より
発注する側から受注する側に回る、という立場の逆転です。仕事が自動的に割り当てられる環境から出てくると、ここが最も大きな変化になります。
3. 繁忙期の労働時間
- 顧客の都合が最優先なので、繁忙期の残業は役所の比ではありません掲載事例より
- 繁忙期の労働時間は役所の比ではありません。体力面は40代には正直こたえます掲載事例より
- 複数の案件を並行して持つため、時間の使い方が全く違います掲載事例より
労働時間の改善を目的にコンサルへ移るのは、掲載事例を見るかぎり噛み合いません。年収と専門性を取る代わりに、時間は差し出す形になっています。
4. 白黒つけられない場面がある
- 顧客の事情を汲む必要があり、白黒つけられない場面があります。監督官の感覚のままでは務まりません労働基準監督官から
- 顧客の立場に立つため、判断が白黒つかない場面があります。調査官の感覚のままでは務まりません国税専門官から
取り締まる側・審査する側にいた人ほど、ここでつまずいています。同じ制度知識を使いながら、立場が反対になることの意味は、入る前に考えておく必要があります。
向いているのはどんな人か
掲載事例から言えるのは次の3点です。
1. 制度や基準を「つくる側・審査する側」にいた人。評価された経験はここに集中しています。窓口業務だけの経歴では、同じようには値段がつきません。
2. 年収と専門性を優先し、労働時間は後回しにできる人。年収は大きく上がりますが、繁忙期の時間は役所より確実に長くなります。
3. 一度、経験者としての立場を降りられる人。資料作成では若手に追い抜かれる、という記録が繰り返し出てきます。
年収の全体像は公務員から転職すると年収はどう変わる?、評価される経験は民間企業が実際に評価した公務員経験で扱っています。
この集計の前提
掲載事例は個別のケースであり、すべての公務員に当てはまるものではありません。ファームの規模、担当する分野、入社時の等級によって結果は変わります。
また、本サイトに掲載しているのは転職した人の記録です。選考に通らなかった人は含まれないため、実際の通過率よりは高めに出ている可能性があります。

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