公務員からエンジニアへ転職した14件、社内SE・情報システムへ移った14件の記録をもとに、未経験から入れるのか、年収はどう変わるのか、入ったあと何がきついのかを集計しました。
公務員からITエンジニアに転職できる?
できています。しかも掲載事例では、年収が下がった記録が1件もありません。エンジニアへ移った14件は全件で年収が上がり、社内SE・情報システムへ移った14件でも下がった記録は0件です。
| エンジニア | 社内SE・情報システム | 掲載事例全体 | |
|---|---|---|---|
| 件数 | 14件 | 14件 | 424件 |
| 平均年収の変化 | 502→601万円 | 522→589万円 | 564→587万円 |
| 年収が上がった | 14件 | 13件 | 224件 |
| 年収が下がった | 0件 | 0件 | 162件 |
| 未経験からの転職 | 12件 | 7件 | 314件 |
| 書類通過率 | 31.0% | 37.3% | 39.3% |
| 転職後の満足度 | 4.2 | 4.0 | 3.7 |
| 平均年齢 | 29.6歳 | 31.1歳 | 33.6歳 |
満足度4.2は掲載事例の中でも高い部類です。年収が上がり、満足度も高いという組み合わせは、他の職種ではあまり見られません。
ただし平均年齢は29.6歳で、全体の33.6歳より若い層に偏っています。この点は後述します。
未経験から入っている人が大半
IT・SaaS業界へ移った51件のうち43件が未経験からの転職です。掲載事例全体の未経験比率より高く、この業界は経験の有無より別のものを見ていることが分かります。
一方で、公務員時代に情報職だった人26件を見ると、年収は547万円から641万円へ変わり、上がった記録が24件です。庁内でシステムを扱っていた人は、外に出ると評価が変わります。
- 情報職は市場価値が高いのに、庁内にいると実感がありません情報職から
- 情報系は組織の外に出ると評価が変わります。一度求人を見てください情報職から
- インフラの運用経験は市場価値が高いです。クラウドの資格を1つ取ると話が早くなります情報職から
選考で評価されたのは、技術力ではなかった
評価された経験の記録を並べると、コードが書けることを挙げた人はほとんどいません。代わりに出てくるのは3種類です。
止められないシステムを守ってきた経験
- 24時間止められないシステムを7年間守ってきた経験です。可用性への感覚は一朝一夕では身につかないと言われました情報職から
- 18年間システムを止めずに運用してきた実績です。可用性を守る感覚は年数でしか身につかないと言われました情報職から
- 住民の生活に直結するシステムで、不具合を出せない前提のテストを設計してきたことです情報職から
仕様や規程を文書に落とせること
- 行政手続の複雑さを理解していることと、仕様書を書ける点です。要件を言語化できるエンジニアは重宝されます行政職から
- 仕様を文書に落とす力です。設計書が書けるエンジニアは若手では少ないと言われました情報職から
- 自治体のセキュリティポリシーを作ってきた経験と、監査に対応できることです。規程を書ける情シスは少ないそうです情報職から
技術が分からない相手に説明できること
- 技術が分からない相手に、手順を噛み砕いて伝えられる点でした。情報システム課はどこも技術者はいるが説明できる人が足りない、と面接で言われています教員から
- 止められないシステムを長く運用してきたことと、稟議を通す文章力です情報職から
3つに共通するのは、手を動かす速さではなく、止めない・書ける・伝えられるという性質です。役所で当たり前とされてきたことが、そのまま不足として求められています。
入ったあと、何がきついのか
ギャップの記録は、はっきり2つに割れます。
1. 業務時間外の学習が前提になる
- 学習量が多く、業務時間外の勉強が前提です。覚悟していても負荷は大きいです掲載事例より
- 覚えることが多く、30代後半からの学び直しは正直きついです。ただ年齢を理由に止められることはありません掲載事例より
- 新しい技術のキャッチアップが常に必要です。40代でも学び続ける前提の仕事だと実感しています掲載事例より
最も多く挙がる項目です。年収が上がり満足度も高い一方で、その状態は勉強を続けることで保たれています。ここを織り込まずに入ると、条件の良さだけでは続きません。
2. 慎重に進める癖が邪魔になる
- 意思決定が速く、決めた翌週には動き出します。慎重に進める癖を抜くのに時間がかかりました掲載事例より
- 変更の頻度が高く、手順書を作る前に環境が変わります掲載事例より
- リリースの頻度が高く、テストの期間が短いです。年度単位で進めていた頃とは別のリズムでした掲載事例より
皮肉なことに、選考で評価された「止めない・確実に進める」姿勢が、入ったあとは速度の足かせになります。評価された長所と、入社後に抜くべき癖が同じものだという点は、あらかじめ知っておく価値があります。
年齢によって、やり方が変わる
エンジニアへ移った人の平均年齢は29.6歳で、掲載事例全体の33.6歳より若い層に寄っています。アドバイスの記録も、年齢によってはっきり違います。
- 未経験の技術職は20代前半が勝負です。在職中の独学が唯一の証明になります20代の記録
- 未経験の開発職でも、書いたものを公開すれば30代後半から入れます。時間はかかります30代の記録
- 情報セキュリティの担当経験は40代でも需要があります。基準への対応実績を書いてください40代の記録
- 40代後半でも、専門を1つに絞れば道はあります。年齢制限のある求人は最初から外してください40代の記録
共通して出てくるのが「在職中の独学が唯一の証明」という言い方です。未経験を名乗る以上、書類で示せるものが他にないため、作ったものを公開しておくことが選考の前提になっています。
年代ごとの結果は公務員は何年目で転職している?、未経験転職の全体像は公務員から未経験の職種へ転職できる?で扱っています。
この集計の前提
掲載事例は個別のケースであり、すべての公務員に当てはまるものではありません。エンジニアの件数は14件と多くないため、傾向として読んでください。
また、本サイトに掲載しているのは転職した人の記録です。独学を続けたが転職に至らなかった人は含まれていません。「年収が下がった記録がない」という結果も、この偏りの上に立っています。

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