公務員は休職中に転職活動できる?面接での聞かれ方を実データで検証

休職を挟んで転職した公務員9件の記録をもとに、休職中に転職活動をしてよいのか、面接で休職について聞かれるのか、決まるまでにどれくらいかかったのかを整理しました。書類に書くかどうかで結果がどう変わったかも掲載しています。

集計対象:公務員転職データベース掲載事例のうち、休職を挟んで転職した9件/集計日:2026年10月17日

はじめにお読みください

体調のことは、記事より先に専門家へ

この記事は転職活動の進み方をまとめたものです。心身の不調そのものについては、主治医や産業医、お住まいの自治体の相談窓口にご相談ください。休職の制度や復職の手続きは所属する自治体・府省の条例や規則で定められており、扱いが異なります。正確なところは職場の人事担当にご確認ください。

目次

前提:病気休暇と休職は別の段階

制度の話が混ざりやすいので、先に整理しておきます。体調を崩したとき、いきなり「休職」にはなりません。

療養で休むときの一般的な段階
段階位置づけ給与
病気休暇まず取得する休暇。国家公務員は原則として連続90日を超えられない(人事院規則15-14)。地方公務員も90日を目安とする例が多い有給が一般的
休職病気休暇を使い切っても復帰できないときに移行する。地方公務員法第28条、国家公務員法第79条にもとづく分限処分のひとつ最初の1年は給料の8割程度を支給する例が多い(条例による)
期間の上限休職は3年を超えない範囲で定められている例が一般的2年目以降は無給になる例が多い

実際の日数、給与の割合、復職の手続きは自治体・府省ごとの条例や規則で定められており、一律ではありません。上の表は一般的な運用の目安として読んでください。

転職を考えるうえで効いてくるのは、この段階の違いです。病気休暇の範囲で復帰できた人と、休職まで進んだ人とでは、書類に残るものが変わります。

休職中に転職活動をしてもいいのか

掲載事例では、休職中に活動を始めた人が9件中7件です。国家公務員法・地方公務員法に、休職中の求職活動そのものを禁じる規定は置かれていません。ただし服務の運用は所属によって異なるため、掲載事例には人事に確認してから動いた記録もあります。

  • 休職中の活動を禁じる規定はありません。制度上の扱いだけ人事に確認しておくと、迷わず動けます国家公務員(行政)→ 総務
  • 休職を職場に伏せる必要はないと考え、応募書類にも在職中と書いています警察官 → 損害調査

気をつける点は2つあります。1つは、在職中に他社へ就職すること。これは営利企業への従事制限(国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条)に関わります。応募や面接を受ける段階と、内定を承諾して働き始める段階は分けて考える必要があります。掲載事例はいずれも、退職手続きを経てから入社しています。

もう1つは、休職の目的が療養であることです。復職を前提に休んでいる期間であるという点は、動く前に整理しておく必要があります。

休職を書類に書くかどうかで、聞かれ方が変わる

ここが最も分かれた点でした。9件のうち、面接で休職について聞かれたのは5件です。残り4件は聞かれていません。

分かれ目は、休職の長さと、退職しているかどうかでした。

休職について聞かれたかどうか(n=9/2026年10月17日集計)
聞かれた5件聞かれなかった4件
休職の長さ半年前後〜長期2〜3か月と短期
応募時の状態在職中または退職後在職のまま(在籍が途切れていない)
書類上の見え方空白期間として残る、または自分から伝えた在職期間が連続しており現れない
年収の変化下がった記録が中心横ばい〜微減が中心

短期の休職は、職務経歴書に空白期間として現れません。在職期間が連続しているためです。掲載事例では、書かない選択をした人が4件ありました。

  • 休職は3か月で、年度をまたがず在職のまま活動しました。職務経歴書は在職中と書いており、休職には触れていません教員 → カスタマーサクセス
  • 休職は2か月でした。在職のまま活動したので、書類は在職中と書いています市役所(行政)→ キャリアアドバイザー
  • 休職は3か月で、在職のまま活動しています。書類には休職を書いていません裁判所事務官 → 法律事務所

履歴書や職務経歴書に休職を記載する法的な義務はありません。ただし聞かれたときに事実と違うことを答えるのは別の問題です。掲載事例で書かなかった人も、答えを用意したうえで臨んでいます。

  • 休職が短ければ書類の上では見えません。無理に書く必要はありませんが、聞かれたときの答えだけは用意しておくと落ち着いて話せます教員 → カスタマーサクセス

なお、入社後に健康保険の履歴などから療養期間が分かる場合はあります。「絶対に分からない」という前提で考えないほうが安全です。

聞かれた5件は、何を確認されたか

長期の休職や、退職後に活動した記録では、必ず質問を受けています。

  • 休職の理由は必ず聞かれました。隠さず話したうえで、復帰後の働き方の希望を具体的に伝えています市役所(福祉)→ 総務
  • 休職していた期間について、何があったのかと、いまの状態を必ず聞かれました。医師の見解を添えて説明しています市役所(福祉)→ 事務
  • 休職の理由を聞かれ、いまの睡眠の状態まで確認されました。日勤で働けるかどうかを見られています警察官 → 損害調査
  • 休職の理由と、身体を使う場面がどこまで可能かを具体的に確認されました消防士 → 設備管理
  • 空白期間について聞かれました。復職して1年以上勤務している実績が、そのまま答えになっています県庁(情報)→ 社内SE

企業側が知りたいことは1つに集約されます。「同じことが自社でも起きないか」です。過去の理由そのものより、いまの状態と、再発を避けるために何を条件にしているかを見られています。

聞かれた5件はいずれも隠さずに話しています。取り繕った人が通ったという記録はありません。

決まるまでの期間と、書類の通りやすさ

活動期間の中央値は6ヶ月で、掲載事例全体の4ヶ月より長くかかっています。一方、書類通過率は31.6%で、全体の39.3%とほとんど変わりませんでした。

休職を挟んだ転職の選考データ(n=9/2026年10月17日集計)
休職を挟んだ9件掲載事例全体
活動期間(中央値)6ヶ月4ヶ月
応募数(中央値)12社17社
書類通過率31.6%39.3%
内定数(中央値)1社2社
平均年齢32.0歳33.6歳

期間が延びる理由は、選考の通りにくさではありません。体調の回復を待つ時間が、活動期間に含まれているためです。休職に入ってすぐ動き始めた記録はなく、2〜3か月は何もしていない記述が複数あります。

  • 体調が戻るまで2か月は何もしていません。動けるようになってから登録し、焦らないと決めたので7か月かかっています市役所(福祉)→ 事務
  • 体調を優先して週2社までと決めています。10社に応募して5か月です裁判所事務官 → 法律事務所

ただし、年齢が重なると書類は通りにくくなります。40代で休職中に活動した記録では、19社出して通ったのは4社、9か月かかっています。

年収は下がる記録が多い

9件のうち7件で年収が下がっています。平均では548万円から520万円へ変わりました。掲載事例全体では上がった記録のほうが多いので、この層では傾向が逆になります。

下げ幅が大きいのは、手当の比重が大きい職種と40代です。消防士から設備管理へ移った41歳の記録では122万円下がっています。

一方で、上がった2件はいずれも復職してから動いた記録でした。県庁の情報職から社内SEへ移った36歳は48万円上がっています。

年収の全体像は公務員から転職すると年収はどう変わる?で扱っています。

休職中に動くか、復職してから動くか

掲載事例には両方あります。どちらが正解ということではなく、優先するものが違います。

掲載事例から見た2つの進め方
休職中に動く(7件)復職してから動く(2件)
年収下がる記録が中心2件とも上がっている
説明の負担長期なら毎回説明が要る勤務実績が説明になる
体調への負担回復と並行するため配分が要る安定してから動ける
時間復職の手続きを踏まない分だけ早い復職期間のぶん先になる
  • 休職中に決めきれないなら、一度復職してから動く道もあります。勤務の実績があると、空白期間の説明がずっと楽になります県庁(情報)→ 社内SE
  • 休職に入った直後に決めなくて大丈夫です。体調が戻ってからでも選択肢は残っています市役所(福祉)→ 事務
  • 短い休職なら書類には出ません。ただ体調が戻る前に動くと判断が鈍るので、そこだけは焦らないほうがいいです市役所(行政)→ キャリアアドバイザー

共通しているのは、休職に入った直後に決めた人がいないことです。

この集計の前提

対象は9件と少数です。傾向として読んでいただき、個別の判断は主治医や産業医、職場の人事担当との相談を優先してください。

病気休暇や休職の日数、給与の割合、復職の手続きは、所属する自治体・府省の条例や規則で定められています。この記事に書いた期間や割合は一般的な運用の目安であり、ご自身の職場に当てはまるとは限りません。

また、本サイトに掲載しているのは転職した人の記録です。休職から復職して公務員を続けている人、活動を途中でやめた人は含まれていません。

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よくある質問

公務員は休職中に転職活動をしてもいいですか?
国家公務員法・地方公務員法に、休職中の求職活動そのものを禁じる規定は置かれていません。掲載事例9件のうち7件が休職中に活動を始めています。ただし服務の運用は所属によって異なるため、人事担当に制度上の扱いを確認してから動いた記録もあります。なお在職中に他社へ就職することは営利企業への従事制限(国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条)に関わるため、応募の段階と入社の段階は分けて考える必要があります。
休職は履歴書や職務経歴書に書く必要がありますか?
記載する法的な義務はありません。掲載事例では、休職が2〜3か月と短く在職期間が途切れなかった4件が、書類に書かない選択をしています。ただし聞かれたときに事実と違うことを答えるのは別の問題です。書かなかった人も、答えを用意したうえで面接に臨んでいました。
面接で休職について聞かれますか?
掲載9件のうち聞かれたのは5件です。長期の休職や、退職後に活動した記録では必ず質問を受けています。一方、短期の休職で在職のまま活動した4件は聞かれていません。聞かれた5件では、理由だけでなくいまの状態と、同じ状況になったときにどう対処するかまで確認されています。
休職歴があると書類で落ちますか?
掲載9件の書類通過率は31.6%で、掲載事例全体の39.3%とほとんど変わりませんでした。ただし40代の記録では19社出して4社しか通らず、9か月かかっています。年齢と重なると難しくなる傾向は見られます。
病気休暇と休職はどう違いますか?
まず病気休暇を取得し、それでも復帰できない場合に休職へ移行します。国家公務員の病気休暇は原則として連続90日を超えられず(人事院規則15-14)、地方公務員も90日を目安とする例が多くみられます。休職は地方公務員法第28条・国家公務員法第79条にもとづく分限処分のひとつで、3年を超えない範囲で定められている例が一般的です。日数や給与の割合は所属によって異なります。
休職中に動くのと、復職してから動くのはどちらがよいですか?
掲載事例には両方あります。復職してから動いた2件はいずれも年収が上がっており、勤務実績がそのまま空白期間の説明になったという記録がありました。一方、休職中に動いた7件は年収が下がる記録が中心です。体調と時間のどちらを優先するかで分かれます。
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この記事を書いた人

京都大学卒業後、商社勤務、公務員を経て、転職エージェントとして14年間キャリア支援に従事。これまでに累計8,000名以上のキャリア相談を経験。
現在は独立し、SNSを中心に「公務員の転職・キャリア」に関する情報を発信。SNS総フォロワーは1万人を超える。

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